About GAKIFES

「GAKIFES」開催について

 

わたしが石垣島をはじめて訪れたのは、今から13年ほど前になる。石垣空港は当時、東京からの直行便もなく、沖縄本島からトランジットで時間もかかり、滑走路がやけに短いちっぽけな空港だった。それでも美しい海と、どこまでも抜ける空に魅せられて、わたしはあれから何度も石垣島を訪れている。

今では羽田から3時間の直行便も就航し、ずいぶんと立派になってしまった空港に降り立った瞬間、そこが東京から何百キロも離れた“南ぬ島”であることすら忘れてしまうほどだ。

石垣島を中心に大小たくさんの島々が点在する八重山諸島。その最大の魅力は、優麗な自然だけでなく、独自の文化が、今もそこに住む人々の生活に根付いているところだと思う。そして八重山の音楽もそのひとつだ。口伝、口承といった親から子へと受け継がれる三線や民謡は、今日もこの島のあちこちで耳にすることができる。音楽を仕事にするわたしですら、その音色を聴くと、とにかく心地が良いのだ。人々の生命をはぐくむような恣意的な音楽が、この島にはずっと息づいている。

昨年、わたしは世界の東の果ての日本という島国から、新しいクラシック音楽を発信したいという想いで「COMPANYEAST(東の会社)」という、とても小さな音楽事務所を設立した。そして真っ先に考えたことは、石垣島で所属アーティストたちと一緒に新しいクラシック音楽祭をやってみたい、という夢だった。アーティストも、作り手も、リスナーも、都会では得られない生きた音楽の側面に触れることで、新しい音楽が生まれるはずだ。わたしは直感的にそう思った。

音楽祭の名前は「GAKIFES(ガキフェス)」に決めた。これは石垣島の「垣(ガキ)」と、沖縄にルーツがある新垣隆さんの「垣(ガキ)」をかけてみた。周囲から少し笑われたけど、覚えやすいのが一番だと思って、個人的には非常に気に入っている。

そして、その記念すべき第1回が今回の音楽祭となる。

石垣島は今、観光客が急増し、リゾートホテルや洒落たコテージ、コンビニまでもが立ち並ぶ、何の不自由もない南の島の楽園に変貌を遂げようとしている。それでも石垣島には昔と変わらない自然と文化があり、固有の音楽が住んでいる。この島から新しい音楽が発信できることを、今わたしは夢見ている。

最後に、今回の「GAKIFES」にご協力いただいた石垣島「舟蔵の里」の元村さん、シンガーソングライターのつちだきくおさん、沖縄ツーリズムの田造さんに、心から感謝の意を表したい。

 

カンパニーイースト
堀越 信二